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2008年10月27日 (月)

クロッシング・ふたたび・・・(第21回東京国際映画祭・アジアの風)

20081027

10月も終わりに近いというのに、梅雨時のような蒸し暑い雨の日「クロッシング」の字幕付きの上映を見るために、六本木ヒルズまで足を運んだ。
そのまえにシネマート六本木にて、我らがクァク・キョンテク監督の昨年の作品「愛」も鑑賞(於・韓流シネマ・フェスティバル2008)。
「愛」は次回じっくりと。

気になる映画は、やはりDVDとは別にまず、足を運んで大きなスクリーンで見たいもの。

2008102712 やおら降り出した雨の中で、大好きな父親と破れかかったサッカーボールを追いかけて、あどけない笑顔を見せていた北の少年ジュン。一人になった彼の上に降る雨の雫は、お父さんの思い出の暖かさであり、お母さんの涙であり、やがてその彼も、あんなに会いたかったお父さんの上に降り注ぐ雨となる・・・・「お父さん、僕はここに・・・。」
二度目に見た「クロッシング」にそんな演出の意図など読み取れた気になってこんなことを書いていると、あの映画を思い出してじわ~~っと目頭が熱くなってくる。

ソウルで見たときにどうにか理解できたことは、大方は当たっていたと思う。だが、いくつか受け取り切れていなかった事柄もあり、やはりきちんと字幕付きで見られてよかった。

ソウルでの感想。(ご一読いただけたら幸いです。)

「演出意図」と書いたが、映画「クロッシング」では万事が慎重であり控えめであり、淡々としているように感じられた。上映後行われたキム・テギュン監督とホン・ジヨンプロデューサー出席のティーチインに於いて、ハッピーエンドにはならなかったラストへの質問の答えでも、監督は言葉を選びながら「現実に起こっていることを考えたら、ああいうラストになるしかなかった。」と言われたのだった。

公開にあたって幸い脅迫されるようなことこそなかったけれど、北の問題は韓国民にとっては出来れば見たくないと思うものかも知れず、またデリケートなことであり、思うように興味を持ってはもらえないことである・・・と監督はまたそのような意味合いのことも言われた。
あの国は想像するよりもずっと閉鎖的であり、自由とはいったいどういうことなのか、自由という言葉の意味さえ理解できない脱北者も多い。漢江の橋の下は物乞いで溢れている、などと教わってきたから、ソウルに着いてじっさいに橋の下を見てみる。しかし彼らの思うところの物乞いの姿は見えない。そこで、アレ?と思う・・・・。また、意思を持って脱北する者ばかりでなく、映画のお父さんのように、行きがかり上「脱北者」となり、国に帰れなくなってしまう、そんなケースも多いのだそうだ。

200810272左がキム・テギュン監督
当日の記事はこちら。

“チャ・インピョは「オファーを断った後、家でインターネットを検索していたら、北朝鮮の清津駅で飢え死にした少年の写真が出てきた。少年の手首は僕の手首の半分にもならないほど細く、カバンをギュッと抱えたまま死んでいた。(少年が)こんなになるまで一体僕は何をしていたんだ、という思いから、涙が止めどなくあふれた」と、出演を決意した経緯を時折のどを詰まらせながら説明した。
そして最後に「“北朝鮮の子供たちがかわいそう”という思いからこの映画に出演した。かわいそうだと感じるのは僕の心の中のことだが、映画に出演したのはそれを表す方法だと思った」と決意の固さを口にした。”(朝鮮日報掲載・映画製作報告会でのインピョさんの発言より)

インピョさんのこの言葉は、この映画に関わったひとたちの共通する思いだろう。また、監督さんはクリスチャンだそうだが、それでなんとなく腑に落ちた。過去に「火山高」「オオカミの誘惑」「百万長者の初恋」等ずいぶんトレンディな作品を撮ってこられたあとに、この作品を撮ったその意味といえば、それが自分の役目である、と心に固く信念として抱いておられたのではないか、と。
果たして、この映画は今年の春史映画祭で8冠に輝き、いろんな映画祭で上映され、日本でも来春シネカノン他で上映が決定。アカデミー賞外国語映画賞に韓国代表として出品も決まったとの事。そういう栄誉を受けることも、それでこの映画を一人でも多くの人に見てもらうため、と言えるだろう。

私たちには何が出来る、などとはおこがましくてとても言えないが、この映画を見ることは出来る。見た映画の内容を、人に伝えることも出来るだろう。ぜひ一人でも多くのひとに見て欲しい、とそう願う。

200810273 ソウルで見たときに、いまひとつ曖昧だったのは、お父さんが家族の写真を挟んでいた小さな黒い表紙の聖書のことだった。中国と北朝鮮を行き来しているものたちに積極的に配られる・・・というか、配っているひとたちがいるのだという。映画の冒頭で、ジュンの同級生ミソンのお父さんがジュンの父親に「読んでみろ」とくれたものだ。
お父さんが果たしてどのくらい聖書に書かれていることに興味があったのかはわからない。ただ写真を挟むのにちょうどいい、という程度であったかもしれない。(クリスチャンと脱北者支援、このへんもたぶんやっぱり、とてもデリケートなことだろう、と思われ。)お父さんがソウルで働き始めた工場の責任者もクリスチャンで、支援の一環としてお父さんを受け入れたのだと思われる。妻が亡くなったことを知り絶望に沈むお父さんに「神様に祈ろう」と励ますが、お父さんは「神様は南朝鮮にしかいないのか?」と、ずばり矛盾を言い当てちゃった言葉をぶちまけるのだった。切ない。じっさい何もかも、限界だらけなのだから。国同士でどうにもならず、民間頼み。命永らえるには賄賂と運命の細い糸・・・・

200810274シッカリ繋がれた手は本当の父と子のよう。ソウルのマスコミ向け試写会で。
その限界と矛盾を、監督さんもなんども感じたに違いない。

しかし、もしもずっと後になって、かつて存在した半島の北半分の国のことを振り返るときが来たならば、必ずや再びの指命を得て、輝くのではなかろうか・・・この映画はそんな作品だと思う。

ジュンのお父さんは、家族を亡くした後の人生を、ソウルでどんなふうに生きていくのだろう。敬虔なクリスチャンになるだろうか。もしも新しい出会いがあったなら、受け入れて行くだろうか・・・ついそんなことを考える。

ジュンを演じたシン・ミンチョルくんはオーディションでたくさんの子役の中から見出されたが、プロの子役ではないとのこと。彼の内からできるだけ自然に演技が出てくるよう、監督さんは常に心を配ったそうだ。ミンチョルくんのほうも、小さいながらにダイエットの決心などして「太った」と呟いては泣いたりしながら役作りにのめり込み、モンゴルの砂漠ではふらふらで、実のお母さんは心配したそうだ。
なけなしのお金で買ったパンをあっという間にコッチェビの子達に横取りされて途方に暮れても曲がりもせず、再会したミソンを一生懸命に庇い、誰も恨まず黙々と歩く・・・ジュンという子がこんないたいけなキャラであったことは、この映画いちばんのツボだ。(そして更なるツボは、インピョ父さんの号泣する姿であった。)

※シネカノン公式のページは こちら。

アジアのチャン・ドンゴン様的風景200810275

さてさて。当ブログのお客様のりりょんさん(イ・ジョンジェ氏及び、現在はジェヒ坊のアツいファン。)happy01が、先日ベトナムに旅行された際、ハノイの街かどの看板を写したものを送ってくださいました。このところ消息がとんと知れずサビシイわんこマニアの皆様へもご披露させていただきます。ありがとうございました。(ぽちするとさらに大きく見れます。)

空港にも同じ写真の広告があったとのこと。アジアに於ける韓流は日本ほど怒涛であったかどうかはよくわからないけれど、同じように各国で定着し、受け入れられているようです。ウチのドンゴン兄さんのIn MemoriumというDVD&写真集の中でも、ベトナムでのイベントにアツく迎えられ大騒ぎになっている場面が出てきますが、特に「ドクターズ」は日本より先にベトナムで盛り上がったらしいですね。

POSCO E&C・・・ポスコマンションのポスコ建設の看板のようです。ポスコはもともと製鉄会社で、日本でも株式上場をしています。この髪型は、今年髪を切る前に撮られたカンジですかね。ぽーずはちょこっとレトロです~。(笑)

お仕事ご苦労様~・・・と思わず手を振ってしまいますわん。shinedogshine

「ベトナム」といえば、映画「インドシナ」「愛人(ラマン)」を思い出すmiyukiです。

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コメント

あ・・・あかん
見る前からすでに泣けてきそうです。

北の現実はTVのドキュメント番組でさんざん見ているけど、それってどこか大げさに、いわば敵対する目で作られているようにも思えて、わたしはついつい映画を通じて自分が感じ取れるものを信じてしまいます。たとえ虚構であるとわかっていてもそこからめっちゃ影響を受けるタイプなもんで。

この監督さんもそうですけど、こういうテーマの映画って多分公平な目線で作ろうと努力されると思うんです。
それでも真実は溢れ出るんでしょうねぇ・・・。

これは絶対見たいです(見たいもんだらけです)
何かがクロスするんですね?
なになんだろう・・・涙sweat01


投稿: rei | 2008年10月27日 (月) 22時26分

オフィシャルサイト見に行って予告見ただけで涙涙でした。
しくしくと言うより、うえ~~~んでしたcrying

報道番組で見た16歳の少年射殺っていうのを思い出してしまい、どうして?と悶々としております。
現実に今この時間にも…と思うと、あまりの自分の無力さに、これまたうううううっweep
無力だけど、知らないよりは知ったほうがいい、小さいけど出来ることからと思うんですけどね。
なかなか難しいことです。
モンゴルと言えば、ハッピートイズがモンゴルのストリートチルドレンに寄贈されたって記事を読んでこれまた涙しておりました(話がずれてごめんなさいです)

ベトナムといえば、私もmiyukiさんと同じくインドシナ」「愛人(ラマン)」ですね。
「インドシナ」を見てから、ハロン湾はぜひ行きたい場所であります。

投稿: みゆっち | 2008年10月27日 (月) 23時38分

carouselponyreiさん、お近くで来春以降やるような話ですので、
ぜひごらんくださいまし。38度線まつり、コレに極まる、とおもいます。

「くろっしんぐ」原題はたぶん「越境」「国境を越える」そんな意味なんですが、
ほかにいろいろ思い当たるもちーふの言葉かと思います。

このさきあの国はどこへ向かうのかわかりませんが、
生まれた場所で幸せに暮らせるようになるのが
ほんとの道筋だと思いますよね。

投稿: miyuki | 2008年10月28日 (火) 12時30分

carouselponyみゆっちさん、そちらでは
シネ○ノンが年内になくなっちゃうそうで、
あったらそこで見れたと思うのですが・・・
お近くで公開されたらぜひごらんくださいませ。
(おススメ~~っていって薦めてるのとちょっとニュアンスちがうんですが^^;)

ストリートチルドレンも、北のコッチェビも、
寒くなっていくこれからが心配です。
マンホールで寝るんですよね。
せめて、着るものはあるだろうかって・・・・weep

ベトナム・・・・「愛人」で、ヒロインが麻のワンピース着てるのが
素敵でしたっけ。
麻、好きなんですよ、皺になるけど・・・

投稿: miyuki | 2008年10月28日 (火) 12時39分

ソウルで公開されると話題になった頃から
機会があったら是非観たいと思ってました。
miyukiさんの「ソウルでの感想」もナナメ読みして(すみません)
スクリーンでの上映に臨みました。
「脱北」をテーマにした、お涙頂戴的な展開なのかな‥?なんて
甘い気持ちで出かけたのですが・・・・

あれから数日経った今でも、まだ引きずっています。
「凄い映画を観てしまった」というのでしょうか。
胸の奥に小さな石のような塊が残っていて
こうしてmiyukiさんのレビュー(前回のも含めて)を拝見したり
公式サイトの予告編を観たりすると
数々のシーンが思い浮かび、目頭が熱くなるとともに
胸の奥がしくっと痛みますthink

実際に起きているであろう事実を淡々を描いているのみならず
この親子を突き放すような展開になっていますが
脱北って北の人たちが望んで、コチラ側に来ているのばかりだと思っていましたが、
必ずしもそんなケースばかりでない、ということはショックでもありました。
人道的支援って難しいですよね。
よかれと思ってしていることも、相手にとっては望まなかったこともあったりして
限界を感じてしまいました。
そうですね・・オススメです!とか感動しました!というのではなく
機会があったら是非観て頂きたい。という映画だと思います。

>あんなに会いたかったお父さんの上に降り注ぐ雨となる・・・・「お父さん、僕はここに・・・。」

いかんいかんcryingまた涙が・・crying
インピョさん良い俳優さんになられましたよね(偉そうでスンマセンsweat01
羨ましいですね。いろいろとcatface

投稿: JUN | 2008年10月28日 (火) 18時00分

miyukiさん
すばらしいレビューでしたsweat02sweat02
レビューを読んで絶対に見にいこうと思いました。
滝涙cryingで見ていられないかもしれないけど。

>それが自分の役目である

人生でそういう気持ちでできる仕事は少ないです。たいがい気の重くなることが多いので、勇気のある人たちしか進まないからでしょう。
(「闇の子供たち」が予想以上にヒットしているのも、監督や俳優、スタッフのそんな気持ちからなのではないかと思います)

紹介してださって、ありがとう。

投稿: 秀子 | 2008年10月28日 (火) 21時47分

cryingJUNさん、雨の中お疲れ様でした。
いやあ・・・しっかり刷り込まれましたよね。
観客としては、上映中って号泣ってより、
呆然としちゃいますよね。
でも、あとで来ます。

インピョさんがうらやましいと思うのは、
やっぱカッコいいんだけども、こんなリアルな役が来るってことですね。

王子のファンも、陛下のファンも、
もちろんうちの丼兄さんファンにもいちどは見ていただきたい
映画であります。


投稿: miyuki | 2008年10月29日 (水) 09時27分

clover秀子さん、恐れ入ります。
「闇の子供たち」私も見たいと思いながら
夏からこっち
なかなか時間と場所と、決心が固まらず。(汗)
あの映画もそういう意味では見て楽しいものではなさそうですが、
見ておきたい作品、と思っております。

ぜひごらんください、クロッシング。^^

投稿: miyuki | 2008年10月29日 (水) 09時38分

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